ゴールドマン、三菱商事、マッキンゼー。なぜ「仕事ができる人」は顔がいいのか。造形ではない。0.1秒で伝わる「知的な顔」の正体と、その育て方
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なぜ「仕事ができる人」は顔がいいのか。造形ではなく、0.1秒で伝わる「知的な顔」の正体と、その育て方
私は東京大学で海馬を研究し、コロンビア大学院で臨床心理学を修めたあと、これまで年間8,000名以上のキャリアとメンタルのサポートに携わってきました。面接、面談、商談の場で、何千人もの「できる人」と「そうでない人」の顔を見続けてきて、確信していることがあります。
仕事ができる人は、たしかに「顔がいい」。ただしそれは、生まれ持った造形の話ではありません。
そして、これがこの記事で一番お伝えしたいことなのですが——その「顔」は、脳を鍛えれば、何歳からでも手に入ります。
「有能そう」は、0.1秒未満で決まっている
まず、少し怖い話から始めます。
人が他人の顔から受ける「有能そう」という印象は、0.1秒未満で、自動的に生成されます。プリンストン大学のTodorovらの一連の研究では、顔をほんの一瞬——100ミリ秒に満たない時間——見せただけで人は相手の「有能さ」を判断し、その一瞬の印象が、後からじっくり見せたときの評価とほとんど変わらないことが示されています。
さらに衝撃的なのは、この「有能そう」という顔の印象だけで、選挙の当落が7割前後の精度で予測できてしまうという結果です。
つまり、あなたが面接室のドアを開けた瞬間、商談相手と名刺を交換した瞬間、会議で発言する前の一瞬に——相手の脳は、あなたの「有能さ」をすでに判定し終えています。そして厄介なことに、判定している本人も、判定されている本人も、そのことに気づいていません。
これは、努力や実績の前に立ちはだかる、見えない関門です。
意外な事実——造形からは、本当の知能は読めない
ここで多くの人が誤解します。「じゃあ結局、顔立ちの良い人が得をするんでしょう」と。
違います。 ここが科学的に面白いところです。
チェコの研究者Kleisnerら(2014年)は、顔の造形と実際の知能検査の点数の関係を調べました。結果は明快でした。人が「賢そう」と感じる顔の特徴と、その人の本当のIQは、一致していなかったのです。私たちが「知的だ」と判断している手がかり——顔の輪郭や目鼻の配置——は、当たっている合意ではなく、みんなで共有している思い込み(ステレオタイプ)にすぎませんでした。
静止した顔の骨格や造作から、その人の本当の知性を読み取ることは、ほぼできない。
これは、生まれつき「有能そうな顔」に恵まれなかったと思っている人にとって、実は最高の朗報です。なぜなら、勝負は造形では決まっていないからです。
では、何が「顔」に出ているのか——3つの脳機能
造形でないなら、私たちは一体、顔の何を見て「この人はできる」と感じているのか。
答えは、振る舞いです。顔という画面に漏れ出している、脳の使い方です。具体的には、次の3つの脳機能が、視線・表情・言葉の間(ま)を通じて滲み出ています。
① プレッシャー下で崩れない「情動制御」
扁桃体(感情の火元)と前頭前野(理性のブレーキ)の連携です。ここが強い人は、想定外の質問や厳しい指摘を受けても、表情が崩れず、声が上ずらず、まなざしが泳ぎません。逆に弱い人は、動揺が瞬時に顔に出ます。相手の脳は、この安定感を「有能さ」として読み取っています。
② 自分を上から眺める「客観視(メタ認知)」
「自分が何を分かっていて、何を分かっていないか」を、リアルタイムで把握する力です。ここが効いている人は、自信が正しく較正されています。だから、知らないことを知らないと言える落ち着きがあり、その安定が表情に表れます。空威張りの人の顔がどこか不安げに見えるのは、較正されていない自信が漏れているからです。
③ 相手の内側を想像する「対人力(社会的認知)」
内側前頭前野や側頭頭頂接合部が担う、相手の意図や感情を読む力です。ここが働いている人は、視線の合わせ方、うなずきのタイミング、間の取り方が自然で、相手に「分かってもらえている」という安心を与えます。
この3つは、すべて後天的なものです。 骨格と違い、脳の使い方は、トレーニングで変えられます。
「東大生は顔がしまっている」の正体
「勉強ができる人は、顔がしまっている気がする」——これも、よく聞く実感です。そして、この直感は正しい。ただし、理由は骨格ではありません。
勉強とは、突き詰めれば注意を一点に集中し続ける訓練です。前頭前野を使って注意を制御する時間を、何千時間と積み重ねる。その習慣が、顔の「持ち方」に漏れ出します。
具体的には——視線が定まって泳がなくなる。不安からくる無意識の微細な表情(そわそわ、まばたきの増加、口元の緊張)が減る。表情筋のトーンが整う。この「注意が集中している状態が、顔に定着したもの」を、私たちは「顔がしまっている」と表現しているのです。
つまり、彼らの顔がしまっているのは、生まれつきではなく、注意を制御する脳を、長時間使い込んだ結果です。裏を返せば——同じ脳の使い方を後から鍛えれば、同じ「しまった顔」は手に入る、ということです。
できる人と、そうでない人。顔の「振る舞い」はこう違う
面談の現場で見えるコントラストを、整理しておきます。
できる人は、聞かれてから答えるまでの間(ま)が一定で、視線が安定し、分からないことは動揺せずに「そこは調べます」と言えます。自信が較正されているので、顔に余白があります。
そうでない人は、答えに詰まると視線が泳ぎ、早口になり、知らないことを断言で埋めようとします。較正されていない自信は、必ず不安として顔に漏れます。
この差は、頭の回転の速さ(いわゆるIQ)そのものよりも、上の3つの脳機能が鍛えられているかどうかで決まります。実際、一般知能と仕事の成果の相関は、多くの人が思っているより弱いのです。効いているのは、生まれ持った賢さではなく、鍛えれば手に入る脳の使い方のほうなのです。
だから、「知的な顔」は設計できる
ここまでをまとめます。
「どうせ自分は変われない」——長年この仕事をしてきて、いちばん多く聞いてきた言葉です。でも、脳科学の答えははっきりしています。脳は、何歳からでも変わります。 変わらないのは造形だけで、あなたの評価を決めているのは、そこではありません。
私たちは、この事実を土台に「ブレイン改革プログラム」を設計しました。
ブレイン改革プログラム——「知的な顔」を、脳から育てる
このプログラムは、表情の練習でも、話し方のテクニックでもありません。表面をいじっても、較正されていない自信は必ず漏れるからです。私たちが変えるのは、その源にある脳の使い方です。
東大・池谷研究室由来の脳科学と、コロンビア大学院の臨床心理学。この2つを統合したアプローチは、日本ではほとんど例がありません。年間8,000名以上、18年間で累計8万名以上をサポートしてきた実践知が、その裏付けです。
受講料:月額48,000円
「もう年だから」「顔なんて変わらない」と思ったあなたへ
最後に、よくいただく声にお答えします。
「顔なんて変わらないでしょう」——変えるのは造形ではありません。視線・表情・言葉に漏れる「脳の使い方」です。そこは、確実に変わります。
「もう年だから、脳は変わらないのでは」——神経可塑性は、生涯にわたって働きます。変化のスピードに個人差はあっても、変わらない脳はありません。
「地頭の問題では」——効いているのは地頭ではなく、鍛えられる3つの脳機能です。だからこそ、後からでも間に合います。
面接の0.1秒、商談の第一印象、会議での存在感。そのすべてを決めている見えない関門は、あなたの造形ではなく、あなたの脳の使い方です。そして、脳は変えられます。
「どうせ変われない」を、「脳は変わる」に書き換えるところから、始めませんか。
坂下絵美
女子学院→東京大学薬学部→東京大学薬学系研究科(池谷研究室・脳科学/海馬研究)→コロンビア大学教育大学院(臨床心理学)。アルファ・アドバイザーズCOO(2020年〜)。アルファは18年間で累計8万名以上をサポート。